現代の再生医療
現代の再生医療の要といえば ご存じ「iPS細胞」。iPS細胞とは、人工的につくられた万能細胞(多性能幹細胞)のことで、京都大学の山中伸弥教授らのグループが、マウスの線維芽細胞を使って世界で初めて作製に成功し、2007年にはヒト皮膚細胞からヒトのiPS細胞の樹立にも成功していることでも有名です。
iPS細胞が凄いのは、理論上すべての組織や臓器に「分化誘導」することが可能な万能細胞であるということ。つまり、人間の細胞からiPS細胞を作製できれば、拒絶反応のない組織や臓器を作製でき、それを移植することができるという夢のような細胞であるということです。しかし夢のようなiPS細胞ですが、こと毛髪再生となると現段階ではまだまだ厳しい状況にあるみたいです。
その理由は人間の臓器は大きく2つの細胞群にわけることができ1つは、皮膚、血管、骨など単一の細胞から構成されているものと、もう1つは心臓、肝臓、腎臓、など複数の種類の違う細胞群から構成されているものに分けられるのですが、現時点でつくれる細胞は単一の細胞から構成される臓器のみ。
毛髪は、毛包幹細胞と毛髪に色をつける色素幹細胞という2つの細胞から構成されているので単一細胞ではなく現時点では、たとえiPS細胞であっても「毛髪再生」は厳しいという結論となっています。
「毛包」の部分的な再生
しかし今年2013.1には慶応義塾大学医学部の大山学専任講師と岡野栄之教授らの研究グループが、マウスを用いた実験で、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から髪を作る組織である「毛包」の部分的な再生に成功するという嬉しいニュースも発表されていますので、今後のさらなる研究に期待はできるのではないでしょうか。